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Vol.3 100人の奥方とそのバンガロー

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アユタヤはバンコク市内の中心地から車で約1時間半ほど。車窓からの風景には木々が多く映るようになり、川岸には水上で生活を営む人々の住居などが点々と見えてくれば、そこはもうアユタヤである。アユタヤ王朝は1930年代中期から約400年にわたって栄華を極めたタイ族による王朝だ。地の利を活かして、中国、日本、中東、ヨーロッパ、そして琉球などと活発に貿易を行い、膨大な富を蓄えたことで知られる。写真はバンパイン離宮の一コマだが、この美しい庭園はアユタヤ朝26代のプラサート・トーン王が作った夏の宮殿跡だという。

園内には様々な時代に建てられた多くの建造物があるが、“誰それが涼をとるために建てた”的なものが多い。その中でも目に付いたのが、ちょっとおしゃれな豪華版バンガローのような建物。それが30メートル~50メートルほどの間隔で数棟並んでいるエリアがあった。それらはすべて王様の奥方たちが“涼をとる”ための住まいだという。本当かどうかわからないが、王様には奥方が100人もいたそうだ。100人ということは、毎日まんべんなく奥方を訪問したとして、一人に年3回強しか会えないことになる。変な計算をしていたら、同行していた友人が「100人はちょっと厳しいね」と声をかけてきた。何人だったらちょうどいいのかは、聞かなかったが。

Vol.4 暑さは時に笑いを封じる

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2009年にアユタヤを訪れた日は、時々薄日が差すようなはっきりしない天気だった。でも、3つの川に囲まれたちょうど中洲のような地形に位置するアユタヤ遺跡は、まるでぬるめのサウナの中にいるような感じで、とても蒸し暑かった。

さて、世界遺産にもなっているこのアユタヤの遺跡群は、広く知られているようにほとんどの寺院が廃寺であり、多くの建造物や石像が破壊されている。かつてのアユタヤ王朝がビルマ(ミャンマー)の攻撃を受けた際に、徹底的にぶっ壊されたのである。写真では見たことがあったが、頭部だけが破壊された石像が並ぶ様は、さすがに痛々しい。ただ、もともとが寺院だった場所だからなのか、穏やかな気配に満ちた、妙に落ち着く空間だった。

遺跡の中を歩いていると、遠くの方で雷鳴がとどろいた。一緒にいたタイ人の一人が「Myanmar coming again!」と呟いた。おかしかったけど、暑いのもあってあまり笑えなかった。